「障がいのある子どもの成年後見制度は、いつから利用したらよいのでしょうか」
このようなご相談をいただくことがあります。
特に、親御様がお元気で、今は日常生活やお金の管理を手伝えている場合には、
「まだ成年後見人をつけなくてもよいのでは」
「でも、自分たちが高齢になってからでは遅いのでは」
と迷われる方も多いと思います。
成年後見制度を利用する時期については、ご本人の判断能力や生活状況、ご家族による支援の状況などによって異なります。
そのため、一律に「何歳になったら利用する」というものではありません。
まずは「財産」と「将来の生活」を整理する
成年後見制度をいつ利用するかを考える前に、まず整理しておきたいのが、お子様の現在と将来の生活です。
たとえば、
- お子様ご本人の預貯金や収入
- 障害年金などの収入
- 毎月の生活費
- 施設費や医療費
- 福祉サービスの利用状況
- 現在、親御様が代わりに行っている手続き
- 将来、親御様ができなくなったときに残る手続き
などを書き出してみます。
また、親御様自身についても、
「自分たちの財産を、将来お子様にどのように残すのか」
を考えておく必要があります。
そのため、
財産の確認
→ お子様にどう残すかを考える
→ 遺言書を検討する
→ 必要に応じて成年後見制度の利用時期を考える
という順番で整理すると分かりやすくなります。
遺言書を考えることは、成年後見制度を考えるきっかけにもなる
たとえば、親御様が亡くなり、配偶者と障がいのあるお子様が相続人になった場合を考えてみます。
遺言書がなければ、原則として相続人全員で遺産分割について話し合う必要があります。
お子様ご自身で遺産分割の内容を理解し、判断することが難しい場合には、成年後見人等による支援が必要になることがあります。
また、成年後見人とご本人が同じ相続の共同相続人となるなど、両者の利益が相反する場合には、家庭裁判所が選任する特別代理人等が必要になることがあります。
成年後見人は親が自由に決めるものではありません
ここは大切な点です。
法定後見制度を利用する場合、成年後見人等を最終的に選任するのは家庭裁判所です。
ご家族が候補者を挙げることはできますが、必ずその方が選任されるとは限りません。
そのため、
「将来この人に全部任せれば大丈夫」
と考えるだけではなく、
誰が後見人になっても、お子様のことを理解して支援してもらえるように準備しておくこと
が重要です。
親が元気なうちに利用するメリットは?
成年後見制度については、「親が亡くなってから利用すればよい」と考える方もいます。
一方で、親御様がお元気なうちに利用を検討することにも意味があります。
特に大きいのは、
親御様自身が、後見人とお子様との関わり方を見ながら、必要な情報を引き継ぐことができる
という点です。
たとえば、
- お子様の性格
- 日常生活で苦手なこと
- 本人が安心できる環境
- 利用している施設や福祉サービス
- 医療機関
- お金の使い方
- 本人が大切にしていること
- 困ったときに相談している支援者
などは、書類だけでは伝わりにくい部分があります。
親御様がお元気な間であれば、
「この子にはこういう支援が必要です」
と、後見人や支援者へ直接伝えることができます。
「後見人を監視する」というよりも、親御様が元気なうちに、支援が適切につながっているかを確認しながら、少しずつ次の支援者へ引き継いでいくという考え方がよいと思います。
成年後見制度は「早ければ早いほどよい」わけではない
一方で、成年後見制度は、必要がない段階で急いで利用すればよいというものでもありません。
現在、ご本人の判断能力や生活状況に問題がなく、親御様による支援で生活できている場合には、すぐに制度を利用する必要がないケースもあります。
大切なのは、
「いつから必要になるか」を今のうちから考えておくこと
です。
たとえば、
- 親御様による財産管理が負担になってきた
- 銀行や契約手続きが難しくなってきた
- 親御様が高齢になり、支援を続けることに不安が出てきた
- 相続や財産管理の手続きが必要になった
- 親御様以外の支援者へ少しずつ引き継ぎたい
といった時期が、一つの検討の目安になります。
成年後見制度は現在、見直しの議論も進んでいます
成年後見制度については、本人の意思をより尊重し、必要な期間・内容に応じた支援のあり方などについて制度見直しの議論が続いています。
そのため、今後の制度改正や運用の動向も確認しながら、そのご家庭にとって適切な利用時期を考えていくことが大切です。
「親亡き後」は、成年後見だけでなく遺言も一緒に考える
障がいのあるお子様がいらっしゃるご家庭では、
成年後見制度だけを考えればよいわけではありません。
親御様の財産をどのように残すかについては、遺言書も重要になります。
たとえば、
「夫が先に亡くなった場合」
「妻が先に亡くなった場合」
「最終的に夫婦二人とも亡くなった場合」
をそれぞれ考え、
誰に、どの財産を、どのように残すのか
を整理しておくことが大切です。
「財産をどう残すか」は遺言、
「受け取った財産を本人が管理できない場合にどう支えるか」は成年後見、
というように、役割を分けて考えると整理しやすくなります。
花咲く行政書士事務所でお手伝いできること
花咲く行政書士事務所では、障がいのあるお子様がいらっしゃるご家庭について、
- ご家族の状況の整理
- 親御様・お子様の財産状況の整理
- お子様に将来必要となる生活費の整理
- 親御様の財産をどのように残すかの検討
- ご夫婦それぞれの遺言内容の整理
- 公正証書遺言の文案作成
- 公証役場との事前調整
- 任意後見契約についての整理
- 成年後見制度を検討する時期についての情報整理
- 「親亡き後」に向けた必要な準備の整理
などを、ご家庭の状況に応じて一緒に考えていきます。
成年後見人そのものを当事務所が決定することはできませんが、
「今、成年後見制度が必要なのか」
「まだ先でよいのか」
「その前に何を準備しておくべきか」
を整理するお手伝いは可能です。
「まだ成年後見制度を使うと決めていない」
「遺言と成年後見のどちらから考えればよいのか分からない」
という段階でも構いません。
まずは、現在親御様が行っている支援と、お子様が将来必要になる支援を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ|親が元気なうちに「次の支援者へつなぐ準備」を
障がいのあるお子様の成年後見制度については、
「いつ成年後見人をつけるか」だけを考えるのではなく、親御様がお元気なうちに、お子様の生活や財産管理を次の支援者へどうつないでいくか
という視点が大切です。
成年後見制度を利用する時期は、ご本人やご家族によって異なります。
まずは、
という順番で、少しずつ準備していくとよいと思います。
※本記事は一般的な制度のご案内です。成年後見制度の利用の必要性や時期については、ご本人の判断能力、生活状況、財産状況、ご家族による支援状況等によって異なります。個別の事情を確認したうえで検討する必要があります。


