行政による終活支援から考える「おひとりさま」のこれから

最近、「終活」を行政がサポートする動きが少しずつ広がっています。その中でも、神奈川県横須賀市が行っている「わたしの終活登録」制度は、特におひとりさま世帯の安心を支える画期的な仕組みとして注目されています。

目次

横須賀市の「わたしの終活登録」制度について

この制度は、本人があらかじめ
・緊急連絡先
・葬儀や納骨に関する希望
・遺言書やエンディングノートの保管場所
などを登録しておくことで、万が一の際に関係機関が照会できる仕組みです。
「身寄りがない」「頼れる人がいない」という方にとって、自分の意思を残す大切な手段となります。

特に、おひとりさま・高齢の方・身寄りが少ない方にとっては、
“人生の最終段階を自分らしく整えるための公的なサポート”となります。

行政による終活支援


行政が担えること、担えないこと

私自身、行政書士として一般社団法人身元保証相談士協会の会員として、身元保証・任意後見契約・死後事務委任契約などに携わっています。

ただし、実務の現場では、

  • 民法上の契約手続き
  • 身元保証の連帯保証
  • 死後事務に関する預託金の管理

といった領域は、行政機関が直接担うことは難しいのが実情です。
それでも行政が制度として関与することで、
孤立しやすい方々に「支援につながる入口」を提供できる点は、とても大きな意味があると考えます。


行政に期待したい2つの視点

1. 市民後見人の育成と支援体制の強化

おひとり様・お二人様世帯の方々の中には、後見人を依頼できる親族がいないために、任意後見契約そのものが結べないというケースが多くあります。

私もこれまで「市民後見人養成講座」の講師を何度か担当してきましたが、修了後に実際に後見人として活動される方は少ないと伺いました。


市民後見人の定着は、地域包括ケアを支える大切な基盤になると感じています。

この分野は、特に、社会福祉協議会(社協)などが中心となって、養成後のサポート体制を継続的に整えていく必要があります。


2. 高齢者の「住まい」と「不動産」問題

もう一つ、現場で多く寄せられるのが住まいの課題です。

  • 自宅を売りたくても売れない(特に農地)
  • 自宅を売って賃貸へ移りたいが、高齢を理由に契約を断られる
  • 空き家バンクの仕組みが実際にはあまり機能していないのが現状
  • 高齢者が安心して入居できる保証・あっせん制度が少ない

こうした現実に直面するたび、「市が保証人となる仕組み」や、「高齢者向けの公的賃貸支援制度」の必要性を強く感じます。

高齢者の住まいを支える仕組みがあれば、生活再建や“自分らしい終活”の選択肢が格段に広がるのではないでしょうか?


終活は「人生の最終準備」ではなく「生き方の支援」

終活は医療や介護だけでなく、住まい・財産・法務・見守り・死後の手続きが複雑に絡み合う分野です。

だからこそ、行政だけでなく、士業・福祉・地域の専門家が協働して支える体制が欠かせません。

これからの終活支援は、「亡くなるときの準備」ではなく、*“安心して今を生きるための支援”**へと進化するべきではないでしょうか?


おわりに

花咲く行政書士事務所では、遺言書の作成や死後事務委任契約、任意後見契約など、お一人おひとりの人生に寄り添った終活サポートを行っています。

終活は「終わりの準備」ではなく、これからの自分をどう生きるかを考える大切な機会です。どうぞお気軽にご相談ください。

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