相続発生後の手続き① 遺言書があった場合

相続が発生すると、遺族はさまざまな手続きを進める必要があります。

これらの手続きは、タイムリミットがあるものや複雑な書類の準備を要するものも多く、スムーズに進めるためには相続の流れを理解しておくことが大切です。

ここでは、相続手続きの一般的な流れをわかりやすく紹介します

相続発生 初期(約2週間)の手続き

まず、相続が発生した時点で、以下の初期対応が必要です。

死亡届の提出

死亡届は故人が亡くなった日から7日以内に市区町村役場に提出します。葬儀を行う際には、多くの場合、葬儀会社がサポートしてくれますが、手続きを遅らせないように注意しましょう。

葬儀

葬儀や納骨の手配を行いながら、故人の財産や負債、遺言書の有無を確認しておくと、後々の相続手続きがスムーズです。

遺言書があった場合

遺言書の内容の確認

故人が遺言書を残していた場合、遺言書の内容を確認します。遺言書が公正証書で作成されている場合はすぐに効力を発揮しますが、自筆証書遺言などの場合は家庭裁判所で「検認」という手続きを行う必要があります。この検認は、遺言書の存在を法的に確認する手続きであり、これを経ずに遺言内容に基づいて財産を分けることはできません。

相続放棄・限定承認の手続き(相続発生後三か月まで)

相続人は、相続を無条件で受け入れるかどうかを選択する権利があります。遺言書には負債がかかれていないかもしれませんので、負債がないか確認することをお勧めいます。

相続財産に多額の負債がある場合、相続を放棄するか、限定承認をすることが考えられます。

  • 相続放棄:相続放棄を選ぶ場合は、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。相続放棄を行うと、相続人としての権利と義務をすべて放棄することになります。
  • 限定承認:相続財産の範囲内で負債を承継する「限定承認」は、相続放棄とは異なり、プラスの財産も残しつつ負債を限定的に受け入れる選択肢です。これも3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要です

財産の名義変更

遺言書があれば、基本的には、分割方法を相続人で話し合う協議は必要ありません。
遺言書の内容に従って遺産を分割していきます。

相続手続きの最終段階は、故人名義の財産を相続人に移す名義変更手続きです。

名義変更に期限はありません。ただ、2024年4月から施行される相続登記義務化では、不動産を相続した相続人は3年以内に登記を完了する義務があります。この義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

  • 不動産の名義変更:遺産分割協議書を元に、法務局で不動産の所有権移転登記を行います。
  • 預貯金の解約・名義変更:金融機関に対して相続手続きを行い、預貯金を相続人の口座に移すために必要書類を提出します。

相続税の申告と納付

相続財産の評価額が相続税の基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合は、相続税の申告が必要です。

  • 申告期限:相続税の申告と納付は、相続発生から10か月以内に行わなければなりません。基礎控除を超えない場合でも、必要な書類を揃えて確認することが大切です。
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