任意後見契約のき・ほ・ん その1

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任意後見契約ってなに?

「任意後見制度」を一言で説明すると「将来判断能力ながくなった時に備えて、自分の信頼する人に財産管理などを任せる制度」ということです。

まず、「今は判断能力がある人」委任者が、将来、認知症や障がいで判断能力が不十分になったときに備えて、自分がしてほしいこと。

例えば財産自己の生活、財産管理や介護サービス締結といった法律行為を自分の代理でやってくれる人を選びます。その人は任意後見受任者といいますが、その人と、それらの法律行為を委任する契約を結びます。

そして・・実際に判断能力が不十分になったとき、裁判所に「任意後見の開始」を申し立てます。そうすると、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

その任意後見監督人のチェックを受けながら後見事務を行うという仕組みになっています。

任意後見制度と法定後見制度の違いって?

成年後見制度には、この任意後見制度と法定後見制度の二つがあります。

2つの違いはまず、制度が始まる時期。

法定後見制度は、すでに判断が不十分なとき

その時に、本人か法律で定められている申立人が家庭裁判所に申し立てて、裁判所が後見人を決めます。法定後見人といいます。

一方、任意後見制度は、本人の判断能力があるうちに本人が後見人を決めます。

また法定後見の場合は職務内容などが家庭裁判所に委ねられますが、任意後見の場合は予め自分の意思で決めておくことができるといった点で違いがあります。

法定後見では本人の意思反映が難しいのに対し、任意後見の場合には意思能力があるうちに契約を結び、具体的な保護および支援内容を定めることから、法定後見に比べ本人の意思が反映されやすくなります。

任意後見制度ってどんな人が利用できるの?

意思能力をもっていれば委任者になることができます。

ここで、前のページでは 判断能力、ここでは意思能力・・・となっていていますが、実務上判断能力と意思能力は同じ考えてOKです。

意思能力というのは、自分の行為の結果を弁識し、判断できる能力」のことです。

民法の基本書などには、未就学児(小学校入学前程度の子供)、重度の精神障がい者、泥酔者などが意思能力を有しない者として例示されます

自宅の売買契約を締結しようとしている売主の立場であれば、「ここにサインをしたら、自宅はもう他人の物になってしまうのだな」という程度の(7~10歳の小学生)理解ができるのであれば、意思能力はあるものとして扱われます

 任意後見契約に関する法律は、 任意後見契約の委任者の資格について、 特に制限を設けていません。

 補助や保佐の対象となり得る者であっても、「判断能力の衰えの程度が軽く、まだ契約締結の能力がある」と判断されれば、任意後見契約を締結することができます。

本人に、契約締結の能力があるかどうかは医師の診断書、関係者の供述等を参考にして、公証人が慎重に判断して決めます。

意思能力があれば未成年でも委任者になることができます。

ただし、未成年本人が自分で自由に契約できるわけではありません。親権者、親がいない場合は裁判所が選任した法定代理人の同意をえることが必要です。

同意を得て契約したとしても、実際に後見人に代理になってもらう、任意事務ができるのは、成年に達したあとになります。

それまでは契約だけしておくだけということになりますね。

外国人でも委任者になれるのでしょうか?

法律には制限が書いてありません。ただ、その人の国の法律、本国法で

任意後見制度があればそちらが優先されるので、委任者になれるかは、本国法と照らし合わせて、専門家に判断を仰ぐ必要があります。

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