牛久市奥野地区にある「奥野やまゆりの里」
牛久市奥野地区にある「奥野やまゆりの里」に、今年もヤマユリが咲き始めました。
真夏の空に映える純白の花びらと、ほのかに香る甘い香り
この「奥野やまゆりの里」は、地域の有志でつくる「奥野里山山ゆり会」の皆さんが大切に管理している場所です。



かつて奥野の里山に自生していたヤマユリを、もう一度この地に咲かせようと、種から長年にわたって丹精こめて育ててこられたそうです。



訪れた日は、朝から気温が高めでしたが、木陰を通り抜ける風とヤマユリの香りに心が癒されました。
会の方から、再生の苦労、そして思いをお伺いさせていただきました。

この場所が地域の想いに支えられて守られてきたことを実感いたしました。
ひとつひとつの花が、まるで誇らしげに咲いているように見えました。
鬼百合は満開でした



静かに咲くヤマユリと、禅のことば「喫茶去」
ヤマユリの咲く風景の中に身を置いていると、ふと禅の言葉「喫茶去(きっさこ)」が思い浮かびました。
「まあ、お茶でもどうぞ」といった意味合いで使われるこの言葉には、どんな人にも分け隔てなく“今この時を受け入れよう”という深い教えが込められているといいます。
朝から少し汗ばむような陽気の日でしたが、木陰を通る風と、ほのかに漂うヤマユリの香りにふれると、不思議と気持ちがゆるんでいきました。
スマートフォンも、時計も、頭の中のあれこれも一旦脇に置いて、ただ五感をすまし、「今、この瞬間」に意識をとどめてみる。
すると、目の前の花が、葉が、風が、まるで呼吸しているように感じられ、世界がゆっくりと色を帯びてくるようでした。
「喫茶去」の心は、まさにそんなひとときに宿るのかもしれません。
私たちはつい、過去や未来のことにとらわれがちですが、この里山で咲くヤマユリは、ただ静かに、ただまっすぐに、「今を生きる」を見せてくれたのです。
今年もまたこの地に咲いた白い花々は、地域の方々の長い年月の営みによって育まれたもの。
花を咲かせることは一朝一夕では成し得ないけれど、「変わっていく」季節の中に「変わらずに守り継ぐ」想いがある。
その姿に、移ろいの中にある“常”というものの存在を感じました。
ヤマユリに包まれたこの場所で、「まあ、お茶でも」と自分に声をかけるように、しばし足をとめ、静かに呼吸を整える。それだけで心がととのい、また前を向いて歩いていける気がします。
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