遺言書で使う言葉。相続と遺贈
遺言書の作成の時によく使う言葉。「相続させる」と「遺贈する」どちらも遺言を書く本人が死亡したときに、特定の方に財産を取得させるという意味です。ただ、その意味が違うので、その違いを知ってから書くことをお勧めいたします。
「相続する」の意味
お亡くなりになると、その方が生前有していた財産上の権利・義務は、法定相続人(法律で決まっている相続の権利がある人)に移転します。これを「相続」といいます。と、いうことは、法定相続人以外の方に「相続する」と書くことができません。
「遺贈する」の意味
「遺贈」とは遺言によって財産を無償で譲ることをいいます。
譲る相手(受遺者)には特に制限はありません。従って、法定相続人に対してもそれ以外の人や団体に対しても「遺贈する」と書くことができます。
遺贈と相続の違い①財産を受け取る人はだれ?
遺贈は、遺言によって遺言者の財産を受遺者(法定相続人だけでなく、法定相続人以外の人もなることができます)に与えることを指します。なお「遺言」を残すには、遺言書を作成する必要があります。
他方、相続は、法律で決まった関係者に対してのみ発生します。例えば、夫が亡くなった場合、その配偶者や子などが相続人となります。
このように遺贈と相続の違いとして「誰が遺産を受け取るのか」がポイントの一つになります。法定相続人以外の人に財産を残したい場合は「遺贈」となるため、遺言書の準備が必要になります。他方、法定相続人に財産を残したい場合は「相続」となるため、遺言書を作成しなくても、法定相続分の財産を配偶者や子どもに残すことができます。
遺贈と相続の違い②相続にかかる税金
せっかく財産を残すのであれば、相続人が余計に税金を払わずに済むよう便宜を図りたいと思うのが、被相続人(財産を遺して亡くなった方)の本音ではないでしょうか。
遺贈の場合、法定相続人にかかる相続税の1.2倍を支払うことになります。また、通常の相続税には「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」がありますが、遺贈の場合はこの基礎控除の対象外になります。(※ただし例外があります。詳しくは次の章で説明します)
また、遺贈によって受けた財産が不動産だった場合は、相続税以外に不動産取得税がかかる場合があります。それに加えて、不動産を譲り受ける場合は法務局に登録申請を行う際、登録免許税が必要になります。遺贈の場合に財産を受け取ることになる受遺者の税率は、法定相続人より1.6%高い2%になります。
相続は、遺贈と比較した場合、(1)基礎控除がある(2)遺贈に比べると相続税率が低い(3)不動産を譲り受ける場合、不動産取得税は不要(4)不動産を譲り受ける場合、登録免許税率が遺贈に比べると低いという4つの違いがあります。
遺言書の作成には、法律用語や民法の知識が必要になります。難しいとお悩みになる前に、花咲く行政書士事務所にご相談ください