デジタル遺品って何?
厳密には、「デジタル遺品」についての法律定義はありません。(これから法整備されるかもしれませんが)
一般的な解釈として、ここでは、パソコンやスマホ類のデジタル機器に保存されたデータやインターネットのアカウント類とします。
デジタル遺品の中でも、オフライン遺品(例:写真、文書、ダウンロードしたもの、ファイル),インターネットでつながった状態での使用を前提としたオンライン遺品(インターネットサービスのアカウント、ネット銀行、SNS,アプリ等のアカウント)の2つに分けられてそれぞれできること、遺品の扱いが異なります。
オフライン遺品とオンライン遺品の比較
オフライン遺品とオンライン遺品の違いは、「第三者を介するか」です。オンラインについては、SNS、アプリはサービス業者 ネット銀行や団体の会員であればその会社がなければ存在しません。
オフライン遺品は、相続人間での処理になりますは、オンライン遺品については、その第三者とのやりとりになり、手続きが煩雑になりますし、業者、団体に寄って対応もまちまちです。
オフライン遺品の相続
オフライン遺品は、データ、無形物扱いになるので、所有権自体がないため、所有権の相続はできません。ただ、オフライン遺品の知的財産権(著作権)は相続することができます。
一方、データを格納しているパソコン、スマホ類は有形物なので所有権がありますので、その機器自体の所有権を相続できます。ということは、その中に入っているデータもいっしょに引き継ぐことができます。
オンライン遺品の相続
こちらは法律的にちょっと難しいです。
遺品が「一身専属性かどうか」で対応が別れます。一身専属性とは、権利や義務がその人自身だからこそ発生するもの。たとえば、年金受給、健康保険等の 社会保障上の権利、雇用に関する権利のことです。じゃあどうやって判断すればいいのでしょう?
各インターネットサービスの利用規約を確認する必要があります。
「アカウントは,お客様に一身専属性に帰属します」「会員の死亡が解約条項にあり」の場合は、相続ができません。そのような記載がなければ、各サービス提供者に問い合わせる必要があります。
もし、相続できる者であった場合、その引き継ぎ方についても各サービス提供者の規約に従います。
ここで一番の問題は、パスワードがないと中身が見られない!!ってことです。銀行や不動産の相続は、戸籍や相続人の証明で相続できますが、パスワードは教えてくれることはまずありません。
デジタル終活の手段はアナログ手段?
デジタル終活として、ご自身の死後、相続人がデジタル機器のパスワードで中に入れるようにしておくことが必要です。
ではどういう手段がある? エンディングノート、メモ書き、遺言書に記しておくことです。結局はアナログ手段になるのですね。
もちろん、超個人情報であり、生前は人に見られたくない。セキュリティの問題もありますので、死後に相続人、ご家族が探すことができる場所に保管する。もしくは貸金庫に預ける。遺言書は公正証書遺言の付言に書くことはできますが、変更するごとに書き換えの費用・手間もあります。自筆遺言書であれば、今は、法務局において適正に管理・保管できる制度(自筆証書遺言保管制度)もあります。
亡くなられると相続人に通知され、遺言書も公証役場で検認する必要もありません。変更も可能です。
自筆証書遺言保管制度を利用したデジタル終活(パスワード、アカウントIDを記しておく)も有用な手段です。
花咲く行政書士事務遺書では、自筆証書遺言保管制度の利用を前提とした自筆証書遺言書作成のサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。